カフェを開業するには、魅力的なコンセプト設計やメニューの考案に加え、資格の取得や各種手続きを含めた入念な事前準備が欠かせません。特に初めて開業する場合は、何から始めれば良いのか悩む方も多いでしょう。
本記事では、初めてカフェを開業する方に向けて、開業までの流れや取得するべき資格、必要な手続きなどについて詳しく解説します。
カフェの開業に必要な手続き3選
カフェ経営を成功させるには、開業に向けた具体的な準備と手続きが欠かせません。
まずは必要な許可や届出の内容をしっかりと把握し、スムーズにスタートが切れるように準備を整えましょう。ここでは、カフェを開業する際に必要となる主な行政手続きについて解説します。
1. 飲食店営業許可証を取得する
カフェを開業する際は、飲食物を提供する店舗の営業に必須の「飲食店営業許可証」を事前に取得する必要があります。飲食店営業許可証を取得する際の手続きの流れは、以下の通りです(※)。
- 店舗の図面や設備を整えてから、保健所に申請する
- 現地調査が行われる
- 基準を満たしていれば、営業許可証が交付される
営業許可を得る際は、まず店舗の図面や設備を整えた上で、保健所に申請を行いましょう。その後、保健所の担当者が店舗を訪れて、衛生基準や設備の状態を細かくチェックします。調理スペースの清潔さや食材の保管方法、手洗い設備の有無などが衛生基準を満たしていれば、営業許可証が交付されます。
飲食店営業許可証を取得するまでの期間は、一般的に2〜3週間程度です。ただし、申請内容や地域によっては時間がかかることもあるため、開業スケジュールに余裕をもって手続きを進めましょう。もし取得せずに営業すると無許可営業となり、食品衛生法違反として罰則を受ける恐れがあるため注意しましょう。
※参考:厚生労働省.「営業許可業種について(食品衛生法施行令第35条で定める34業種)」p1.https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000349946.pdf ,(参照2025-04-30).
2.個人事業の開業・廃業等届出書を提出する
カフェを個人事業主として開業する場合は、開業する地域を管轄する税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出しましょう。この届出は、開業日から1カ月以内に行う必要があります(※)。この届出をすることで、正式に税務上「事業を始めた」と認められます。
また開業届を出す際は、必要に応じて「青色申告承認申請書」も提出しましょう。青色申告を選ぶと、最大65万円の控除が受けられたり、赤字を3年間繰り越せたりするといったさまざまなメリットがあります。開業時は何かと手続きが多いですが、この2つの書類をきちんと提出することで、税金に関する負担を減らしながら経営をスタートできます。
※参考:国税庁.「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」.https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm ,(参照2025-04-30).
3.労災・雇用保険に加入する
カフェを開業して従業員を雇う場合、労災保険と雇用保険への加入は必須です。これらの保険に加入しないまま従業員を雇っていると、後になって保険料をさかのぼって徴収されたり、罰則が科されたりする可能性があるため注意しましょう。
労災保険は、業務中や通勤中に発生したけがや病気などに対して、労働者に必要な給付を行う制度です。雇用形態にかかわらず、アルバイトやパートを含めて1人でも労働者を雇った場合は必ず加入しなければなりません。
また雇用保険は、従業員が失業した際に失業給付などの支援を受けられる制度です(※)。所定の労働条件を満たす従業員を雇用する場合には、雇用保険への加入も必要になります。
※参考:厚生労働省.「労災保険・雇用保険の特徴」.https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/2024707.html ,(参照2025-04-30).
カフェの開業に必要な資格
飲食物を提供する事業を始める場合は、安全で衛生的な環境を守るために、法律で定められた基本的な資格の取得が必須です。ここでは、カフェの開業に必要な資格について解説します。
食品衛生責任者
カフェを開業する際にまず必要となるのが「食品衛生責任者」の資格です。飲食物を提供するすべての店舗において、食品衛生責任者の資格を持つ人を配置することが義務付けられています(※)。この資格がなければ営業許可を取得することができません。
食品衛生責任者の資格を取るには、各都道府県が実施する講習会を受ける必要があります。講習は各地の食品衛生協会によって開催されており、通常は1日で完了します。
※参考:厚生労働省.「食品衛生責任者について(現行の取扱い)」p1.https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000360006.pdf ,(参照2025-04-30).
防火管理者
カフェを開業する際、店舗の収容人数によって、防火管理者の選任が必要になる場合があります。収容人数とは、店員数と客席数を合計した人数を指します。収容人数が30人以上の場合、防火管理者を選任しなければなりません。
さらに、店舗の延べ面積によっても取得すべき資格が異なります。店舗の延べ面積が300m²未満であれば「乙種防火管理者」、300m²以上であれば「甲種防火管理者」の資格が必要です。どちらも所定の講習を受講することで取得できます(※)。
開業予定のカフェの規模に応じて、自分が防火管理者の講習を受ける必要があるかどうかを必ず事前に確認しておきましょう。
※参考:東京消防庁.「防火管理者とは」.https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/jissen/p04.html ,(参照2025-04-30).
カフェの開業に必要な準備8選と主な流れ
カフェの開業に必要な手続きや資格の取得が無事に済んだら、いよいよ店舗づくりや資金調達といった具体的な準備に進みます。準備を怠ると開業後の運営に支障が出る可能性もあるため、あらかじめしっかりと計画を立てることが大切です。ここでは、カフェの開業に必要な準備とその流れを解説します。
1. 店のコンセプトを明確にする
カフェを開業する際、まずしなくてはならないのは、店のコンセプトを明確にすることです。具体的なコンセプトの例として以下が挙げられます。
- 若い女性向けのSNS映えカフェ
- 仕事帰りの会社員向けのバー併設カフェ
- 落ち着いた空間で読書を楽しめるカフェ
- 手作りスイーツが自慢の女性向けカフェ
- 子連れでも来やすいアットホームなカフェ
どんな人に来てほしいのか、どのような空間やサービスを提供したいのかをはっきりさせることで店舗の方向性が定まり、内装やメニュー、価格帯などを決めやすくなります。自分が目指す具体的なイメージや雰囲気をコンセプトとして形にすることが、他の店との差別化にもつながるのです。
逆にコンセプトがあいまいなままでは、開業後に方向性を見失い、集客にも苦戦することになりかねないため注意しましょう。
2. 事業計画書を作成する
カフェを開業するに当たり、事業計画書の作成は義務ではありませんが、なるべく作っておきたい重要な書類です。事業計画書を作成する主な目的は、以下の通りです(※)。
- 事業計画を共有するため
- 今後の運営方針を明確にするため
- 資金調達のため
事業計画書には、立地条件や店舗の規模から今後の運営方針や収支の見通し、コンセプト、ターゲット層に至るまで、事業に関する詳細をできるだけ詳しく記載します。
また、自己資金だけでなく融資を受けて開業する場合には、事業計画書を審査の判断材料として金融機関に提出する必要があります。内容に具体性や説得力があればあるほど、資金調達の成功率が高まります。
事業計画書は、一度作って終わりではありません。開業後も定期的に見直しをして、経営の軌道修正や新しい施策を始める際の判断材料として活用しましょう。事業計画書は単なる書類である以上に、今後のビジョンを明確にし、関係者と共有するための設計図としての役割を果たすのです。
※参考:厚生労働省.「一般事業主行動計画の策定・届出等について」.https://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/jisedai/index.html ,(参照2025-04-30).
3. 資金を調達する
カフェの開業には、物件取得費や内装工事費、設備購入費、人件費などさまざまな費用がかかります。そのため、事前に十分な資金を確保することがスムーズな開業のためのポイントといえるでしょう。
一般的な資金調達の方法は、以下の通りです。
- 自己資金を貯める
- 融資を受ける
- 出資してもらう
- 補助金や助成金を利用する
まず基本となるのが、自己資金です。貯金などで用意した資金は返済の必要がないため、できるだけ多く準備しておくと開業後の負担を軽減できます。
自己資金では足りない分は、金融機関の融資を受ける方法が一般的です。融資とは、銀行や金融機関が個人や企業に対して、一定の利息を条件にお金を貸し出すことです。融資を受ける際は、事業計画書や自己資金などが重要な審査ポイントとなります。
また、家族や知人に事業の将来性を説明し出資してもらう方法や、国や自治体が提供する補助金・助成金を利用するという方法もあります。
多くの場合、資金調達の申請には審査があり、採択されるまで時間がかかることもあるため注意が必要です。より安定した資金計画を立てるためにも、早めに情報収集を行い、必要に応じて複数の方法を組み合わせて活用しましょう。
4. 物件を探して契約する
事業計画がある程度整ったら、いよいよ物件選びの段階に移ります。物件の探し方は、不動産会社に相談したり、インターネットで検索したりする方法が一般的です。専門の不動産会社では、カフェ開業に適した物件情報やエリアごとの特徴など、具体的なアドバイスをもらえます。また居抜き物件を中心に掲載している「ミセハジ」などのWebサイトを活用すれば、より効率的に物件探しができるでしょう。
物件探しには時間がかかることが多いため、開業予定日の3~6か月前から余裕を持って準備を始めることをおすすめします。理想のカフェを実現するためには、物件選びは妥協せず、しっかりと情報を集めることが大切です。立地や家賃、動線、周辺環境など、複数の視点から慎重に比較・検討しましょう。
5. 内装工事を行い店内設備を整える
物件が決まったら、次は内装工事と店内設備の準備です。内装工事には大きく分けて物件工事と美観工事の2種類があり、目的や内容がそれぞれ異なります。
物件工事とは、営業に必要な設備を整えるための実務的な工事です。具体的には、厨房の排気設備や電気・ガス・水道の配管工事、空調設備や照明の設置などが含まれます。これらは保健所の許可にも関わる重要な部分であるため、専門の業者に相談しながら計画的に進める必要があります。
一方、美観工事は店のコンセプトに合わせた空間づくりを目的としたものです。内壁や床、看板のデザインや照明の演出など、店の印象に直結する全体の雰囲気を具体的に決めていきます。また、テーブルや椅子、棚などの家具や食器類、調理器具などの店内設備の調達も同時進行で進めましょう。設備によっては、新品に限定せず、中古やレンタルも視野に入れて費用を抑える工夫も大切です。
6. 提供するメニューを考案する
具体的なメニューの考案は、今後の運営の方向性を決める重要なステップの一つです。店のコンセプトに沿ったメニューを考案することで、ターゲット層や店の個性がより明確になります。例えば、健康志向のカフェにしたい場合はサラダやスムージーなどのメニューを充実させる、レトロな雰囲気の純喫茶ならナポリタンやプリンなど懐かしい味を取り入れるなど、世界観を統一することを意識しましょう。
また、メニューの内容によって必要な厨房設備や調理器具が変わることも考慮しなければなりません。調理工程が多いメニューを扱う場合は、広い厨房や十分な作業スペースが必要となるため、物件選びや内装設計と並行して無理のない計画を立てることが大切です。
7. スタッフの採用や教育をする
カフェを開業する際、スタッフの採用と教育はとても重要です。特に飲食店の運営を円滑に行うためには、スタッフの多くを占めるアルバイトスタッフの教育が欠かせません。接客や調理補助といった日々の業務をスムーズに進めるためには、開業前の段階からしっかりと準備を整える必要があります。
アルバイトスタッフの募集は、店舗オープンの1か月ほど前を目安に始めるのが一般的です。この時期であれば、採用後すぐに研修を行い、現場に慣れてもらう時間を十分に確保できます。2か月以上前に募集を始めてしまうと、実際の勤務が始まるまでの待機期間が長くなる分、応募者には待ってもらう必要があります。
8. 集客や宣伝をする
カフェ経営の成功には、オープン前の集客や宣伝活動が不可欠です。店舗の外装や提供するメニューをどれだけ魅力的に整えても、存在を知ってもらえなければお客さまは来てくれません。
一般的な集客や宣伝の方法は、以下の通りです。
- ホームページの開設
- SNS運用
- 看板やポスターの設置
- チラシやクーポンの配布
ホームページやSNSアカウントを立ち上げて、開店準備の様子やメニューの紹介、スタッフの紹介などを定期的に投稿すれば、多くの人に興味を持ってもらえるでしょう。
また、オフラインで行う地域密着型の宣伝も効果的です。お店の周辺に看板やポスターを設置したり、近隣の住民やオフィスに向けてチラシやクーポンを配布したりすることで、近くに住む人たちに直接アピールできます。
さまざまな手段を組み合わせて「もうすぐこの場所にカフェができるらしい」と話題にしてもらえるような効果的な集客を心掛けましょう。
カフェの開業についてよくある質問
ここでは、カフェの開業についてよくある質問について、その解答と合わせて紹介します。
地方・田舎でのカフェ開業は難しい?
田舎の自然豊かな環境や落ち着いた雰囲気を生かした、ゆったりとしたカフェづくりをしたいと考える人も多いでしょう。田舎でカフェを開業する場合、メリットとデメリットの両方があります。
田舎でカフェを開業するメリットとしてまず挙げられるのが、土地代や家賃が都市部に比べて安く、初期費用を抑えて開業しやすい点です。また地域によっては、開業する人を対象にした支援制度が活用できます。さらに、都会に比べて地域の人との距離が近くなりやすく、また近隣の競合店舗が少ないため、お客さんが常連として定着しやすいことも大きなメリットでしょう。
一方、田舎でカフェを開業するデメリットとして挙げられるのが、人口が少ないため集客できる母数に限りがある点です。カフェ文化が根付いていない地域ではなかなか新規のお客さんを獲得しにくく、初期の宣伝に苦労する可能性が否定できません。また、自家用車がなければ来店しにくいような立地では、交通の便も大きく影響します。地方ゆえの人手不足や仕入れの不便さも悩みの種になる可能性があります。
田舎でカフェを開業することには、都会にはない魅力がある一方で、特有の難しさもあるのが実情です。地域のニーズを探り、地元に溶け込む工夫をすることが田舎でのカフェ開業の成功の鍵となるでしょう。
カフェの開業に専門学校・スクールは必要?
カフェ経営を目指す人の中には、開業に向けて専門学校やスクールに通うべきか悩む人もいるでしょう。結論から言うと、カフェの開業に専門学校やスクールは必ずしも必要ではありませんが、専門的な場で学ぶことには多くのメリットがあります。
カフェの開業のために専門学校やスクールに通う主なメリットは、以下の通りです。
- カフェ経営に必要な基礎知識を体系的に学べる
- 開業手続きについて具体的に学べる
- 人脈が広がる
- 開業後のフォローアップやコンサルが受けられることがある
カフェの開業には、経営や会計、マーケティングといった幅広い知識が必要となります。このようなさまざまな専門知識を短期間で効率よく学べるのが、専門学校やスクールに通う大きなメリットです。
さらに、同じ目標を持つ多くの仲間と出会えることも、スクールに通うメリットの一つでしょう。人脈が広がることで、独立後にチャンスやサポートが得られやすくなります。またスクールによっては、開業後のフォローアップやコンサルティングが受けられるケースもあります。
適切な事業計画を立て、カフェ開業を成功させよう
カフェ経営を成功させるためには、緻密な事業計画が欠かせません。コンセプトの明確化やターゲット層の設定、資金計画、競合分析といった準備段階からの徹底したプランニングが、開業後の安定した経営状況に直結します。必要に応じて専門家への相談や適切なシミュレーションを行いながら、計画的かつ柔軟な姿勢を持って臨みましょう。
「ミセハジfor居抜きカフェ」では、世田谷区・渋谷区・品川区・港区・中央区・大田区を中心に、東京・神奈川にて店舗を出店される方に向けて物件情報を掲載しています。飲食店の開業を予定しており、開業に際して必要な物件を探している方は、ぜひお気軽にご相談ください。
